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マンション大規模修繕の進め方と流れ

公開日: 2026-07-01 / 更新日: 2026-07-28

大規模修繕は、多くの理事にとって在任中に一度経験するかどうかという大きなイベントです。全体の流れが見えないまま進めると、必要な準備が抜け落ちたり、居住者への説明が後手に回ったりします。この記事では、大規模修繕の一般的な進め方を、準備段階から工事完了後までの流れに沿って解説します。費用相場・周期の目安は「マンション大規模修繕の費用相場・周期と進め方」で詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。

大規模修繕の基本的な流れ

大規模修繕は、おおむね次のような段階を踏んで進みます。

各段階で理事会・修繕委員会が居住者へ状況を説明していくことが、円滑な進行の鍵になります。全体としては検討開始から総会決議まで1〜2年がかりになることが多く、工事の規模によってはさらに長期化します。理事の任期は多くの管理組合で1年のため、検討の途中で理事が交代することも珍しくありません。経緯や資料をきちんと引き継げる状態にしておくことが、計画を止めずに進めるうえで重要です。

各段階でやることと期間の目安

段階ごとに主な作業内容と、おおまかな期間の目安を整理すると次のとおりです。あくまで一般的な目安であり、建物の規模や合意形成の状況によって前後します。

段階主な内容期間の目安
事前準備・建物診断長期修繕計画の確認、劣化状況の調査数か月程度
修繕委員会の設置・コンサル選定委員会メンバーの募集、設計コンサルタントの選定数か月程度
施工会社選定見積もり比較、現地説明会、選定理由の整理半年前後
総会決議工事内容・予算・スケジュールの承認説明会を含め1〜2か月
工事実施足場設置から各種工事、検査数か月〜半年程度(規模による)

資金計画・積立金の考え方や1戸あたりの費用の目安は「マンション大規模修繕の費用相場・周期と進め方」を参照してください。

事前準備で押さえること

準備から竣工までの全体フロー

大規模修繕は工程が多岐にわたるため、要所を図で押さえておくと、理事会内での説明や引き継ぎ資料としても役立ちます。

マンション大規模修繕の準備から竣工までの流れ。事前準備・建物診断、修繕委員会の設置とコンサルタント選定、施工会社選定、総会決議、工事実施・アフター対応という5段階を示す図
検討開始から総会決議までがおおむね1〜2年、そこから工事・アフター対応へと続く

施工会社選定のポイント

発注方式には設計監理方式・責任施工方式などいくつかの選択肢があり、それぞれ特徴が異なります。詳しくは「大規模修繕の発注方式」で比較しています。

工事期間中の居住者対応

工事期間中は、足場設置による窓の開閉制限や騒音、ベランダの荷物移動など、居住者の生活に直接影響が出ます。

工事関連のお知らせは頻度が高くなりがちなので、掲示板や書庫を使ったデジタルでの配布・保管の仕組みがあると、理事会の負担を抑えられます(マンション管理規約・議事録・修繕記録をクラウドで保管する方法)。工事のお知らせの文例は「工事案内の文例」も参考にしてください。

工事前説明会で伝えるべきこと

説明会の内容が具体的であるほど、工事期間中の問い合わせや苦情を減らせます。次の項目は最低限盛り込んでおきましょう。

説明項目内容の例
全体スケジュール着工日・足場設置期間・工事完了予定日
生活への影響窓の開閉制限、洗濯物干しの制限、騒音が出る作業日
ベランダの荷物移動移動が必要な物、移動の期限、保管場所の有無
問い合わせ窓口施工会社・管理会社・理事会それぞれの連絡先と対応範囲

これらを説明会資料としてまとめ、欠席者にもクラウドの書庫や掲示板で共有しておくと、後日の「聞いていない」というトラブルを防げます。

工事対応のよくあるNG例とOK例

工事期間中の居住者対応で、理事会が陥りやすい失敗をNG例とOK例で比較します。

大規模修繕の工事期間中によくあるNG対応とOK対応の比較。説明会を開かず着工する、進捗共有を施工会社任せにする、問い合わせ窓口が不明確、記録の保管が担当者任せという4つのNG例と、それぞれの正しい対応を対比した図
着工前の説明と定期的な進捗共有が、工事期間中の苦情を減らす分かれ目になる

記録の保管

工事完了後は、設計図書・工事写真・保証書・検査報告書など多くの記録が残ります。これらは次回以降の修繕計画を立てる際の重要な資料になるため、確実に保管し、次の理事へ引き継げるようにしておきましょう。

記録の種類主な用途
設計図書・竣工図次回修繕時の劣化箇所の比較、増改築時の確認資料
工事写真施工内容の記録、不具合発生時の原因調査
保証書保証期間内の不具合対応の根拠
検査報告書竣工検査の結果、引き渡し可否の判断根拠

紙のファイルだけで保管すると、理事交代のたびに保管場所の引き継ぎが必要になり、紛失のリスクも高まります。クラウドの書庫に保管しておけば、次期の理事会や修繕委員会がいつでも参照できます。

よくある質問

大規模修繕は必ず総会決議が必要ですか?

工事内容・予算・スケジュールなど、区分所有者の負担に関わる事項は総会での承認が必要です。決議に必要な賛成割合は議案の性質によって異なるため、「マンション総会の定足数・議決権割合・特別決議の要件とは」も参考にしてください。

修繕委員会と理事会はどちらが主体になりますか?

最終的な意思決定は理事会・総会が行いますが、専門的な検討や施工会社との調整は修繕委員会が担うのが一般的です。修繕委員会は理事会に提案する立場であり、決定権そのものは理事会・総会にあります。

工事期間中、在宅ワークやペットがいる家庭への配慮はどうすればいいですか?

説明会の段階で、騒音が発生する時間帯や作業内容を具体的に伝えておくと、在宅ワークの世帯もスケジュールを調整しやすくなります。ペットについては、足場設置に伴うベランダの立ち入り制限などを個別に案内すると、当日のトラブルを防げます。

施工会社とのトラブルが起きた場合の相談先は?

まずは設計コンサルタントや管理会社に相談するのが基本です。契約内容に関わる重大なトラブルの場合は、マンション管理士や弁護士など専門家への相談も検討しましょう。

記録(設計図書・工事写真等)はどのくらいの期間保管すればいいですか?

法律上の一律の保管期間の定めはありませんが、次回の大規模修繕(一般に十数年後)まで確実に参照できる状態を保つ必要があります。建物が存続する限り継続的に保管し、理事交代のたびに引き継ぐ運用が望ましいとされています。

修繕委員会のメンバーはどのように集めればいいですか?

掲示板や回覧板で立候補を募るほか、建築・設備関連の職歴がある居住者に理事会から個別に声をかける方法もあります。専門知識を持つ人が見つからない場合でも、進行管理や居住者への説明を担当する役割として参加してもらうだけで、理事会の負担は大きく軽減されます。

まとめ

大規模修繕は、事前準備・修繕委員会の設置・施工会社選定・総会決議・工事・アフター対応という流れで進みます。各段階での丁寧な情報共有と、工事関連記録の確実な保管が、次の修繕へつながる円滑な運営の土台になります。費用相場や周期の目安を踏まえた資金計画については「マンション大規模修繕の費用相場・周期と進め方」もあわせてご確認ください。準備段階から工事完了後までの一連の流れを理事会内で共有しておけば、次に理事が交代しても、経緯を一から説明し直す手間を減らせます。

計画の内容を見直した場合は、変更点と積立金への影響を組合員へ知らせる文書が必要になります。「長期修繕計画の変更・見直しのお知らせ文テンプレート」を無料で配布しています。長期修繕計画そのものの作り方は「マンション長期修繕計画の作り方」で解説しています。

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