管理不全マンション対策とは|改正区分所有法の新財産管理制度を解説
公開日: 2026-07-17 / 更新日: 2026-07-17
区分所有者が行方不明のまま放置された専有部分や、修繕されないまま危険な状態が続く共用部分は、他の居住者や近隣に被害を及ぼしかねません。2026年4月施行の改正区分所有法は、こうした「管理不全」の状態に、裁判所が管理人を選任して対応できる新しい制度を設けました。この記事ではその内容を解説します。
※本記事は執筆時点(2026年7月)の一般的な情報です。実際の対応にあたっては、管理会社・マンション管理士・弁護士等の専門家にご確認ください。
管理不全専有部分・共用部分とは
改正区分所有法は、次の2つの管理不全状態に対応する制度を新設しました。
- 管理不全専有部分:区分所有者による専有部分の管理が適切に行われず、他人の権利や法律上保護される利益が侵害される、またはそのおそれがある状態(例:所有者が行方不明のまま放置され、ゴミの堆積や設備の不具合で悪臭・漏水などの被害が生じている場合)
- 管理不全共用部分:共用部分の設置・保存に問題があり、他人の権利・利益が侵害されるおそれがある状態(例:耐震性不足、火災時の安全性不足、外壁等の剥落のおそれ、給排水管の腐食による衛生上の問題、バリアフリー基準への不適合など)
裁判所への申立てと管理人の選任
これらの状態に対し、利害関係人(他の区分所有者、近隣住民、管理者・管理組合など)や地方公共団体が裁判所に申し立てることで、裁判所が「管理不全専有部分管理人」「管理不全共用部分管理人」を選任できる制度が新設されました。選任された管理人は、当該部分について必要な管理・修繕等の対応にあたる権限を持ちます。
管理組合や理事会だけでは解決が難しい「所有者が行方不明のまま危険な状態が放置されている」といったケースに、裁判所を通じた解決の道筋が用意された形です。
「第三者管理方式」「管理計画認定制度」との違い
似た名前の制度と混同しやすいため、位置づけを整理します。
- 新財産管理制度(本記事のテーマ):特定の専有部分・共用部分が管理不全に陥り、周囲に被害が及ぶ場合に、裁判所が管理人を選任して介入する制度。管理組合の意思とは別に、裁判所を通じて発動されます。
- 第三者管理者方式:管理組合が総会決議によって、理事会に代わりマンション管理士や管理会社などの第三者に管理者を任せる、組合の自主的な選択です(詳しくは「マンションの第三者管理者方式とは」を参照)。
- 管理計画認定制度:管理組合の管理計画が一定の基準を満たしていることを行政が認定する制度で、管理状態の「お墨付き」を得る仕組みです(詳しくは「マンション管理計画認定制度とは」を参照)。
新財産管理制度は、管理組合や理事会が機能していても、特定の専有部分・共用部分の管理不全という個別の問題に対処するための仕組みである点が、組合全体の運営方式を選ぶ第三者管理者方式や、管理状態を認定する管理計画認定制度とは異なります。
管理組合として日頃からできること
- 共用部分の点検を怠らない:耐震性・給排水管・外壁など、5要件に関わる箇所の点検結果を記録し、修繕が必要な場合は早めに総会で議論します。
- 専有部分の異変に気づいたら早めに対応する:異臭・漏水など専有部分に起因する問題は、所有者本人への連絡を早期に試み、記録を残しておきます。
- 連絡が取れない所有者の情報を整理しておく:「所在不明区分所有者への対応」もあわせてご確認ください。
まとめ
- 改正区分所有法は、管理不全専有部分・共用部分に裁判所が管理人を選任できる制度を新設した
- 申立ては他の区分所有者・近隣住民・管理者・地方公共団体などの利害関係人が行える
- 組合の自主的な選択である第三者管理者方式、管理状態を認定する管理計画認定制度とは異なる、裁判所主導の個別介入の仕組み
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