マンション理事会をオンラインで開催する方法
公開日: 2026-07-01 / 更新日: 2026-07-28
「平日の夜に集まるのが難しい」「単身赴任中で理事会に出られない」——理事会の対面開催には、こうした参加のしづらさがつきまといます。Web会議ツールを使ったオンライン理事会は、この課題を解決する手段として広がりつつあります。この記事では、マンション理事会をオンラインで開催する方法と注意点を、準備の手順・進め方・よくある失敗に分けて解説します。
オンライン理事会のメリット
- 移動の負担がない — 集会室まで行く必要がなく、自宅から参加できます。
- 参加率が上がる — 仕事帰りの時間帯や育児中でも参加しやすくなり、欠席が減ります。
- 遠方の理事も参加できる — 単身赴任や実家介護などで現地にいない理事も、リモートから出席できます。
- 記録が残しやすい — 録画機能を使えば、議事録作成時の確認資料になります(録画の要否や保存方法は、個人情報保護の観点から事前に組合内で決めておきます)。
- 理事のなり手不足対策になる — 参加のハードルが下がることで、「忙しくて理事会に出られないから引き受けられない」という辞退理由を減らせます。
対面・オンライン・ハイブリッドの比較
理事会の開催方式は、対面だけでなくオンライン・ハイブリッド(併用)という選択肢もあります。それぞれの特徴を整理すると、次のようになります。
| 対面開催 | オンライン開催 | ハイブリッド開催 | |
|---|---|---|---|
| 参加のしやすさ | 移動が必要 | 自宅から参加可 | 両方から選択可 |
| 必要な準備 | 集会室の確保 | Web会議ツール・接続確認 | 会場設営+配信機材 |
| ITに不慣れな理事への配慮 | 不要 | 事前の接続テストが必須 | 会場参加を選べる |
| 向いているケース | 全員が参加しやすい立地 | 単身赴任・育児中の理事が多い | 参加スタイルが理事ごとに異なる |
ハイブリッド開催は、参加のしやすさとITへの配慮を両立できる一方、司会役が会場参加者とオンライン参加者の両方に目を配る必要があり、進行の難易度は上がります。まずは全員オンラインでの開催から試し、慣れてきたらハイブリッドを検討するという段階的な進め方も現実的です。どの方式を選ぶ場合でも、「毎回同じ方式に固定する」のではなく、議案の重さや理事の出席状況に応じて柔軟に使い分ける管理組合も増えています。
オンライン開催に必要な準備
オンライン理事会をスムーズに開催するには、当日までに次の準備を整えておきます。
- 開催方法を規約・細則で確認する — 管理規約でオンライン開催や電磁的方法による決議を認めているかを確認します。認めていない場合は、総会で規約を改正しておくと安心です。
- Web会議ツールを決める — 使い慣れたビデオ通話アプリを一つ選び、毎回同じツールに統一します。
- 接続テストを事前に行う — 特にITに不慣れな理事には、開催前に接続確認の時間を設けます。
- 資料は事前に共有する — 議題資料は当日画面共有するだけでなく、事前にクラウドで配布しておくと、当日の進行がスムーズになります。
オンライン理事会の進め方
進め方の基本は対面と同じですが、いくつか工夫が必要です。
- 議題ごとに時間配分を決めておく — 対面より発言のタイミングを取りにくいため、司会役が議題ごとに区切って進行します。
- 発言者を明確にする — 発言前に名乗る、挙手機能を使うなど、誰が話しているか分かるようにします。
- 決議の取り方を決めておく — 挙手や投票機能、あるいはチャットでの意思表示など、決を採る方法を事前に決めておきます。
理事会全体の段取りについては「マンション理事会の進め方」もあわせてご覧ください。
よくある失敗と対策
初めてオンライン理事会を開く際に起きやすい失敗を、NG例とOK例で比較します。
NG例:「初回のオンライン理事会で、資料を画面共有しながら口頭だけで説明を進めたところ、通信の遅延で聞き取れなかった理事が質問できないまま議事が進んでしまった。」
OK例:「議題資料は前日までにクラウドで配布し、当日は要点だけを画面共有で説明。聞き取れない場合は遠慮なくチャットで知らせてもらうルールを冒頭で共有しておいたことで、質問の取りこぼしがなかった。」
録画データの取り扱いに関する注意点
オンライン理事会は録画機能を使えるのが利点の一つですが、録画データには発言者の映像・音声という個人情報が含まれます。安易に長期間保存したり、理事以外に共有したりすると、プライバシーの観点からトラブルになりかねません。録画を行う場合は、次の点をあらかじめ決めておくと安心です。
- 録画の目的を限定する — 議事録作成時の確認用など、目的を明確にしておきます。
- 保存期間を決める — 議事録が確定し、内容の確認が済んだ時点で削除するなど、いつまでも残さないルールにします。
- 録画の開始前に出席者へ伝える — 事前に一言伝えておくことで、後々のトラブルを防げます。
参加が難しい理事への配慮
オンライン化はメリットが多い一方、スマートフォンやパソコンの操作に不慣れな理事にとっては、かえって参加のハードルになることがあります。特定の理事だけが取り残されないよう、次のような配慮も検討しましょう。
- 電話やビデオなしの音声のみでの参加を認める — カメラをオンにできない事情がある場合の代替手段として用意します。
- 操作手順を事前に紙で案内する — アプリの起動方法から参加までの手順を、画面のスクリーンショット付きで案内すると安心感につながります。
- 会場参加とのハイブリッドを選択肢にする — どうしてもオンラインに不慣れな理事がいる場合は、その理事だけ集会室から参加できるようにする方法もあります。
資料共有・記録のデジタル化とあわせて進める
オンライン理事会は、資料共有や議事録の保管をデジタル化してこそ効果を発揮します。会議中に画面共有した資料をそのままクラウドの書庫に残しておけば、欠席者や次期理事も後から確認できます。理事会運営全体のデジタル化については「管理組合の理事会DX」も参考になります。議事録の書き方そのものは「マンション議事録の書き方」で解説しています。決定事項をオンライン理事会の場だけで終わらせず、掲示板やお知らせを通じて居住者全体へ共有する運用も、透明性のある管理組合運営につながります。
よくある質問
Web会議ツールは何を使えばよいですか?
特定のツールを規約で指定する必要はありません。理事の年齢層やITスキルに合わせて、操作がシンプルで参加リンクをクリックするだけで入れるツールを一つ選び、毎回同じものに統一するのがポイントです。
通信トラブルが起きた場合はどうすればよいですか?
一部の理事が接続できない、または途中で切断された場合は、録画や議事録案を後日共有し、疑問点があれば個別に確認してもらう運用が一般的です。トラブルが起きた事実と対応も議事録に残しておくと、後日の確認がスムーズです。
オンラインだけで総会も開催できますか?
理事会と同様に、規約でオンライン開催や電磁的方法による決議を認めているかがポイントになります。総会をオンラインで開催する方法については「マンション総会をオンラインで開催する方法」で詳しく解説しています。
採決の記録はどう残せばよいですか?
挙手機能や投票機能を使った場合はその結果画面のスクリーンショット、チャットでの意思表示の場合はログを保存し、議事録に賛成・反対の数を明記します。議事録の記載項目全般は「マンション議事録の書き方」を参照してください。
規約にオンライン開催の定めがない場合はどうすればよいですか?
規約に明記がなくても、理事会での運用として試験的に導入している組合もあります。ただし将来的なトラブルを避けるためには、総会で規約に明文化しておくことが望ましいとされています。
費用はどのくらいかかりますか?
Web会議ツールの多くは、理事会程度の人数・時間であれば無料プランでも運用できます。参加者側も、パソコンやスマートフォンとインターネット環境があれば追加費用なく参加できるため、対面開催の会場費や資料の印刷・郵送費と比べてコストを抑えられるケースが多いです。一方で、有料プランでないと録画機能や1回あたりの通話時間に制限がかかるツールもあるため、実際に使う機能を確認したうえでプランを選ぶことをおすすめします。
理事全員がオンラインに慣れていない場合でも導入できますか?
いきなり全員をオンラインに切り替える必要はありません。まずは一部の議題や、出席が難しい理事だけをオンラインでつなぐハイブリッド開催から試し、少しずつ慣れてもらうという段階的な導入も現実的な選択肢です。
まとめ
オンライン理事会は、参加のハードルを下げ、理事のなり手不足対策にもつながる有効な手段です。導入にあたっては規約の確認、ツールの統一、資料の事前共有を押さえておけば、対面と遜色ない運営が可能になります。録画データの取り扱いやITに不慣れな理事への配慮も忘れずに、まずは一部の理事会から試験的に始めてみるのがおすすめです。
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