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管理組合の会計・収支報告書の書き方

公開日: 2026-07-01 / 更新日: 2026-07-28

会計担当の理事になって、初めて収支報告書の作成を任された——そんなとき、何を書けばいいのか戸惑う方は多いはずです。管理組合の会計は一般的な家計簿とは考え方が異なる部分があり、押さえるべき項目もある程度決まっています。この記事では、管理組合会計の特徴と、収支報告書の書き方、予算対比の見せ方、決算から総会報告までの作成の流れを解説します。

管理組合会計の特徴

管理組合の会計で最初に理解しておきたいのが、会計を目的別に分けて管理する考え方です。

この二つは目的が異なるため、原則として別々に管理し、修繕積立金を管理費の支払いに流用しないようにします。収支報告書もこの二会計を分けて作成するのが一般的です。会計を分けずに一本化していると、修繕積立金がいつの間にか目減りしていても気づきにくくなるため、分離管理は会計の基本ルールといえます。

収支報告書に記載する項目

収支報告書には、最低限次の内容を記載します。

数字だけでなく、大きな支出があった場合はその理由を注記しておくと、総会での説明がスムーズになります。

収支報告書と貸借対照表の違い

管理組合の決算書類には、収支報告書のほかに貸借対照表(または収支計算書)を作成するケースがあります。両者は見方が異なります。

収支報告書貸借対照表
示す内容一会計期間の収入と支出の流れ期末時点の財産・債権債務の状態
主な用途「今年度いくら使ったか」を把握「今、資産・負債がいくらあるか」を把握
未収金・未払金反映されにくい未収の管理費や未払いの工事費も反映される

収支報告書だけでは見えない「滞納中の管理費がいくらあるか」「支払いが済んでいない請求がないか」といった情報は、貸借対照表を確認することで把握できます。滞納が発生している場合は、その状況を収支報告書とあわせて説明すると、組合員の理解が深まります(「管理費・修繕積立金の滞納督促状の文例集」も参照)。両方の書類を作成していない組合も少なくありませんが、少なくとも未収金・未払金の一覧だけは別途まとめておくと、実態の把握に役立ちます。

予算対比の書き方 — 差異の見せ方

収支報告書の中でも、理事以外の組合員が特に気にするのが「予算どおりに使われたか」です。単に実績額を並べるのではなく、予算との差異を項目ごとに示すと、質疑応答で説明しやすくなります。

項目予算実績差異差異の理由(注記例)
管理費収入予算どおり予算どおり±0滞納・退去等なく想定どおり
委託費支出基準予算超過契約更新に伴う委託費改定
修繕費支出基準予算内予定していた小規模修繕が翌年度に延期
ある年度の予算実績対比の例。管理費収入は予算どおり、委託費支出は予算超過、修繕費支出は予算内に収まったことを示す棒グラフ
差異が大きい項目ほど、理由の注記があると総会での質問に答えやすくなる

差異がプラスかマイナスかだけでなく、「なぜその差が生じたか」を一言添えておくことが、収支報告書の信頼性を高めます。差異の理由をその都度メモしておく習慣をつけておくと、決算時にまとめて思い出す必要がなくなり、作成の負担も軽くなります。

収支報告書のNG例とOK例

NG例:「委託費 1,240,000円」とだけ数字を羅列し、前年度や予算との比較がない。

OK例:「委託費 1,240,000円(予算比+80,000円、契約更新に伴う委託費改定のため)」のように、予算対比と増減理由をあわせて記載する。

数字だけを並べた収支報告書は、総会の場で「これは何の費用か」「なぜ増えたのか」という質問が相次ぎ、説明に時間がかかります。差異の理由を先回りして記載しておくことで、質疑応答をスムーズに進められます。

決算・収支報告作成の流れ

  1. 日々の記帳を確認する — 会計期間中の入出金を、管理会社の帳簿や通帳と突き合わせます。
  2. 決算書類を作成する — 収支報告書・貸借対照表(または収支計算書)をまとめます。
  3. 監事の監査を受ける — 監事が帳簿と証憑を確認し、監査報告を作成します。
  4. 理事会で承認する — 決算案を理事会で確認します。
  5. 総会で報告・承認を得る — 総会で収支決算を報告し、組合員の承認を得ます。
決算から総会報告までのスケジュール。会計年度末を起点に、決算書類の作成、監事による監査、理事会での承認、総会での報告・承認へと進む流れを示すタイムライン図
監査から総会までの間隔が空きすぎないよう、あらかじめスケジュールを共有しておくと作業が滞りにくい

管理会社に委託している場合でも、理事会・監事が内容を理解した上で説明できる状態にしておくことが大切です。自主管理の組合では会計業務を理事が担うため、負担がより大きくなります(マンション自主管理のメリット・デメリット)。

決算書類のチェックリスト(理事向け)

初めて決算資料を確認する理事は、次の点を押さえておくと、監事監査や総会での質疑に落ち着いて対応できます。

これらは会計の専門知識がなくても確認できる項目です。数字が苦手な理事でも、この5点だけは押さえておくと、決算資料の異変に気づきやすくなります。異変に気づいた場合は、その場で判断せず、管理会社や監事に確認してから総会資料に反映するようにしましょう。

よくある質問

収支報告書と決算報告書は同じものですか?

管理組合によって呼び方は異なりますが、多くの場合、一会計期間の収入・支出・収支差額をまとめた書類を指しており、実質的に同じものを指すことがほとんどです。貸借対照表(財産目録)を別途作成する組合もあります。

予算より支出が大きく超過した場合、どう説明すればよいですか?

超過額を隠さず明記したうえで、超過の理由(契約改定、想定外の修繕対応など)を具体的に示すことが基本です。今後の対応方針(次年度予算への反映、支出の見直しなど)もあわせて示すと、単なる報告にとどまらず、組合員の納得を得やすくなります。逆に支出が予算より大きく下回った場合も、「なぜ予定していた工事が実施されなかったのか」を説明しないと、計画性を疑われることがあるため注意しましょう。

自主管理の場合、会計は誰が担当しますか?

管理会社に委託していない場合、会計担当の理事(会計理事)が記帳から収支報告書の作成までを担うのが一般的です。負担が大きい業務のため、複数人で分担したり、会計ソフトを活用したりする組合が多く見られます。

収支報告書の作成に会計ソフトは必要ですか?

必須ではありませんが、表計算ソフトや会計ソフトを使うと、集計ミスを防ぎやすく、前年度との比較や予算対比の作成も効率化できます。管理会社に委託している場合は、管理会社が使用している会計システムから出力される資料をベースに確認する形が一般的です。自主管理の場合は、無料の表計算テンプレートから始めても十分実用に足ります。

監事は具体的に何をチェックするのですか?

帳簿の記載内容が通帳の入出金と一致しているか、領収書などの証憑が保管されているか、予算どおりに執行されているかなどを確認し、監査報告書としてまとめます。監事の監査を経ていない収支報告書は、総会での信頼性が下がってしまいます。監事は理事会とは独立した立場でチェックする役割のため、理事自身が監事を兼務することは避けるのが原則です。

保管と共有

決算報告書や領収書などの証憑は、後年になって「あの支出は何だったか」を確認する場面が必ず出てきます。紙の書類だけで保管すると散逸しやすいため、クラウドの書庫にまとめておくと、過去の決算資料をいつでも参照でき、理事の交代時の引き継ぎも楽になります(マンション管理規約・議事録・修繕記録をクラウドで保管する方法)。

まとめ

管理組合会計は管理費会計と修繕積立金会計を分けて管理するのが基本です。収支報告書には収入・支出の内訳、収支差額、繰越金、予算対比を記載し、監事の監査を経て総会で承認を得る流れを踏みましょう。予算との差異には理由を添えることで、総会での質疑応答がスムーズになります。決算資料はクラウドで保管し、次年度への引き継ぎに備えることが大切です。

会計担当の理事は毎年入れ替わることが多いため、「去年はこう書いていた」という前例を参照できる状態にしておくだけでも、初めて担当する理事の負担は大きく減ります。決算資料・チェックリスト・過去の総会での質疑応答の記録をあわせて保管しておくと、引き継ぎの質がさらに高まります。

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