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マンション理事のなり手不足を減らす理事会運営の工夫

公開日: 2026-05-16 / 更新日: 2026-07-21

「理事をやりたがる人がいない」——多くのマンション管理組合が抱える悩みです。輪番でも辞退が相次ぎ、一部の人に負担が集中する。その負担の重さがさらになり手を遠ざける。この記事では、理事のなり手不足を、理事会運営の工夫で和らげる方法を解説します。

なぜ理事のなり手が足りないのか

理由はいくつもありますが、根っこにあるのは「理事の負担が重い・見えにくい」ことです。

つまり「負担そのものを減らす」「負担を見える化する」ことが、なり手不足の対策になります。

負担を減らす3つの工夫

1. 業務を見える化する

理事の仕事が「何を・いつ・どれくらい」やるものなのか分からないと、引き受けるのが怖くなります。年間の業務スケジュールや過去の議事録を居住者が見られるようにしておくと、「思ったほど大変ではない」と伝わり、引き受けるハードルが下がります。

2. 連絡業務をデジタル化する

理事の日常業務でとりわけ手間がかかるのが、居住者への連絡です。お知らせの印刷、掲示、ポスティング、回覧板の作成——これらを掲示板アプリに置き換えると、理事の作業は「文章を入力して登録するだけ」になります。

連絡業務のデジタル化は、なり手不足対策として効果が大きい領域です。詳しくは「回覧板をやめて掲示板アプリに切り替える」「管理組合の理事会DX」もご覧ください。

3. 引き継ぎのしくみをつくる

引き継ぎが曖昧だと、新任理事は毎回ゼロから手探りになります。これがなり手不足の隠れた原因です。お知らせや議事録、規約などの文書をクラウドに蓄積しておけば、管理者アカウントを引き継ぐだけで、次の理事は過去の経緯をそのまま把握できます。「引き継ぎ資料を作り直す」という負担もなくなります。

デジタル化が「なり手不足」に効く理由

連絡業務をデジタル化すると、次のような好循環が生まれます。

負担が軽く、見通しが立つ役職なら、引き受けてくれる人は増えます。

理事会の負担を「分散」させる工夫

業務を役割ごとに分担する

理事会の負担が特定の人に集中する大きな原因は、「理事長がすべてを抱え込む」体制です。会計・広報・防災・共用部の点検立ち会いなど、業務を役割ごとに小さく分けて担当を割り振ると、一人あたりの負担が軽くなり、得意分野を生かして関わってもらいやすくなります。理事長の仕事そのものを整理し直したい場合は「マンション理事長の仕事と役割 — 何をするのか・負担を抑えるには」も参考になります。

外部の専門家に任せる部分をつくる

すべての業務を理事だけで担う必要はありません。会計処理や規約の解釈など専門性の高い業務は、管理会社のフロント担当やマンション管理士に相談する体制を整えておくと、理事の負担が減ります。理事のなり手不足が深刻な管理組合では、理事会の一部または全部の権限を外部の専門家に委ねる第三者管理者方式も選択肢の一つです。詳しくは「マンションの第三者管理者方式とは|メリット・デメリットと国の動き」で解説しています。

次の理事候補に早めに声をかけておく

総会直前になって慌てて理事を探すと、限られた人にしわ寄せが行きがちです。日頃から掲示板アプリでの活動を通じて積極的に関わってくれている居住者に、早い段階で声をかけておくと、心の準備をしてもらいやすくなります。輪番の場合も、対象者には数ヶ月前から見通しを伝えておくと、急な打診による負担感を減らせます。

会議そのものを短くする

理事会の負担感は、業務量だけでなく「拘束時間の長さ」からも生まれます。議題を事前に共有して当日の説明時間を減らす、議論が長引く議案は次回に持ち越すルールを決めるなど、会議運営を工夫するだけでも、理事を引き受けるハードルは下がります。具体的な進め方は「マンション理事会の進め方 — 段取り・議題・時間短縮のコツ」にまとめています。

書面決議・持ち回り決議を活用する

軽微な議案であれば、理事会をそのつど対面で開催しなくても、書面決議・持ち回り決議で済ませる方法があります。招集や日程調整の手間が減るため、忙しい理事でも参加しやすくなります。すべての議案に使えるわけではありませんが、うまく組み合わせれば拘束時間を大きく減らせます。詳しいやり方は「マンション理事会の書面決議・持ち回り決議のやり方」で解説しています。

理事会の開催頻度・時間帯を見直す

負担を分散する工夫に加えて、理事会そのものの開催頻度や時間帯を見直すことも有効です。毎月開催が慣例になっている管理組合でも、議題がない月は開催を見送る、隔月開催に切り替えるなど、実情に合わせて柔軟に運用してよいものです。開催回数そのものを減らせれば、業務量を分担する以上に理事の負担感が下がります。

また、平日夜間の開催が当たり前になっていると、仕事や育児・介護と両立しにくい人は、最初から理事を敬遠しがちです。休日の日中の開催や、オンライン開催を組み合わせるだけでも、引き受けやすさは変わります。オンライン開催の具体的な進め方は「マンション理事会をオンラインで開催する方法」を参考にしてください。移動や会場設営の手間がなくなるだけでも、理事会にかかる負担感は大きく変わります。

「理事にならない関わり方」も用意する

なり手不足の対策というと、理事のなり手そのものを増やすことに目が行きがちですが、理事という役職以外の関わり方を用意しておくことも有効です。特定のイベントや掲示物の作成だけを手伝ってもらう臨時の協力者や、特定の議題についてだけ意見をもらうアンケートなど、フルタイムの理事になるよりハードルの低い関わり方を用意しておくと、「理事にはなれないが力は貸したい」という居住者を巻き込めます。

居住者の意向や協力してもらえるかどうかを把握するには、アンケートを実施するのも一つの方法です。文例や項目のテンプレートは「マンション居住者アンケートの例文・項目テンプレート」で無料配布しています。

マンションの規模によって効果的な工夫は変わる

小規模なマンションでは、そもそも理事になれる人数が少なく、輪番の順番がすぐに回ってきてしまうという事情があります。役割分担といっても、分けられる人数自体が限られるため、まずは連絡業務のデジタル化など、一人あたりの作業時間を減らす工夫から着手するのが現実的です。

逆に大規模なマンションでは、専門委員会を設けて理事会の業務を分散させる余地が大きく、会計・防災・広報といった細かい役割分担がしやすいという違いがあります。自分のマンションの規模に合わせて、紹介した工夫の取り入れ方を調整するとよいでしょう。

なり手不足に陥る理事会と、和らぐ理事会の違い

同じ規模のマンションでも、理事会の運営の仕方によって「なり手不足が深刻化する」組合と「なんとか回る」組合に分かれます。次の対比を、自分の管理組合に当てはめてチェックしてみてください。

なり手不足に陥る理事会と和らぐ理事会の違い。業務が一人に集中する、引き継ぎ資料がない、会議が長時間になる、連絡業務がすべて手作業という4つのNG例と、改善されたOK例を対比した図
負担の「集中」と「見えなさ」をなくすことが、なり手不足対策の共通点

理事会運営を見直す年間サイクル

理事会運営の改善は、一度やって終わりではなく、年に一度、次の理事へ引き継ぐタイミングで見直すのがおすすめです。次の4ステップを、総会前後のスケジュールに組み込んでおくと、改善が定着しやすくなります。

理事会運営を見直す年間サイクル。現状の業務を棚卸しする、デジタル化と役割分担を設計する、次期の理事会で試験的に運用する、うまくいった点を引き継ぎ資料にまとめるという4ステップを示す図
次の理事に引き継ぐタイミングは、運営を見直す絶好の機会

よくある質問

理事の報酬を出せば、なり手不足は解決しますか?

報酬は動機づけの一つにはなりますが、負担そのものが重いままでは根本的な解決にはなりにくいという指摘もあります。まずは業務の負担を減らす工夫と組み合わせて検討するのが現実的です。報酬の相場や税務上の扱いは「マンション役員報酬の相場・税金・源泉徴収」で解説しています。

理事会の役割分担は、どこまで細かく決めればよいですか?

決まった正解はありませんが、小規模な管理組合であれば「会計」「広報・連絡」の2つ程度から分担を始めるだけでも効果があります。管理組合の規模や理事の人数に応じて、無理のない範囲で分担の数を増やしていくとよいでしょう。

前任の理事からほとんど引き継ぎがなかった場合はどうすればいいですか?

まずは過去の議事録やお知らせをクラウドの書庫でさかのぼって確認し、これまでの経緯をつかみましょう。それでも分からない点は、管理会社のフロント担当に相談すると、過去の経緯を把握していることが多く手がかりになります。

理事会の議事録や資料は、居住者にどこまで公開すべきですか?

すべてを全戸公開する必要はありませんが、少なくとも理事会内では議事録や資料をいつでも参照できる状態にしておくと、業務の見える化につながります。居住者向けにどこまで公開するかは、管理組合の方針として理事会であらかじめ決めておくとよいでしょう。

小さく始める

理事会運営の改善は、一度にすべてを変える必要はありません。まずは連絡業務のデジタル化という、効果が大きく取り組みやすいところから始めるのがおすすめです。Share-Board は無料プランがあり、コストをかけずに試せます。次の理事のために、負担の軽い運営のしくみを今期のうちに整えておきましょう。

役員決めそのものの負担を減らす工夫は「管理組合役員の輪番の決め方」、逆に理事を頼まれて困っている場合は「マンションの理事を断りたいとき」も参考になります。

Share-Board は、マンションの掲示板・回覧板・お知らせ配布をデジタル化するクラウドアプリです。理事の連絡業務を軽くし、交代時の引き継ぎもスムーズに。無料プランあり。

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